階段リフォームがまるわかり!基礎知識と費用相場まとめ
あなたは自宅の階段の勾配が急で危ないと感じてはいないでしょうか?
老朽化によって階段を踏むたびにミシミシと音が鳴り、不安を感じているという方もいるでしょう。
独立行政法人国民生活センターの調査によると、家庭内の事故は階段が原因であることが多いとされています。危険な階段をそのまま放置していては、そのうちあなたや家族が事故に巻き込まれてしまうこともあるかもしれません。そこで検討したいのが階段のリフォームです。
また、リフォームといっても単に傷や汚れを直したい、隠したいという場合もあるでしょう。そこで今回は傷を治す程度の軽微なリフォームから業者を呼んで行う大規模なリフォームなど、これから階段をリフォームしようと考える方が知って役に立つ情報をまとめました。
自分でリフォームする場合
表面の傷を隠す程度のリフォームであれば、業者を呼ばずともある程度自分で対処できます。
階段に貼れるマットやシートはホームセンターで購入可能。階段に貼り付ける方法も両面テープで貼り合わせる、接着剤で貼り付けるなどとても簡単なものです。しっかりと寸法に合わせてカットできる程度の器用さがあれば、プロでなくともそれなりの仕上がりになります。
費用は千円~数千円で済みますし、滑り止めの役割を持たせたり傷防止になったりする優れもの。休日にまとまった時間が取れれば1日、2日集中して作業すれば終わるため手間もそれほどかかりません。
とはいえ素人がやっていいのはここまで。冒頭でも述べた通り階段は家の中でも事故が発生しやすい場所です。素人が下手に手を加えると事故の原因になるため、これ以上のリフォームは専門の業者に相談して行いましょう。
本格的なリフォームをする場合
ここからは階段やリフォームについての基本的な知識を説明します。安全なリフォームを行うためにもこの知識をぜひ役立ててください。
階段の基礎知識
たとえ自宅であっても何でも好き勝手に決められるわけではありません。事故を防ぐため、安全に人が住めるようにするために建築基準法による縛りがあるのです。
階段については以下の制約があります。
- 階段の幅は75cm以上
- 蹴上(けあげ、1段あたりの高さのこと)は23cm以下
- 踏み面(ふみづら、足が乗る面の奥行のこと)は15cm以上
一般的に蹴上げは18cmから20cm、踏み面は20cm~22cmが昇りやすいと言われています。ご家族に高齢者や足腰に不安がある方がいるのであれば蹴上げは17cm、18cm程度に抑えておくと良いでしょう。
ところで階段の勾配は緩ければ緩いほど昇りやすいというイメージをお持ちではありませんか?しかし実は必ずしもそうとは限らず、その分段差が多くなったり踏み面が長くなったりしてしまうことで昇りにくいと感じることもあります。自分の体やリフォーム業者と相談し、後悔しないリフォームにしましょう。
安全のために気を付けるべきこと
床材にはできるだけ滑りにくいものを選びましょう。たくさんのサンプルを見ているうちに多少滑りやすくてもこのくらいなら大丈夫か、と思うこともあるかもしれません。しかし、お風呂上りに足が湿った状態で階段を昇る、階段に水をこぼしてしまうといった状況になることも十分考えられます。せっかくリフォームをしたのにそれが原因で事故が起こるなんてことは避けたいですよね。滑りにくい床材としてはカーペットや木材がおすすめです。
安全面を考える上でもう1つ気を付けたいポイントがあります。それは階段の明るさ。階段は段差が多くて影ができやすく暗くなりやすい場所です。見通しが悪くなれば当然踏み外しなどの事故を起こしやすくなりますよね。もし階段だけでなく、家全体をリフォームするような大規模なものを想定しているのであれば窓の位置にも意識を向けましょう。照明を取り付けたり床材を明るい色のものにしたりといった対策がおすすめです。
工事別の内容・費用
階段についての基礎知識を押さえたところで、具体的な工事の内容やかかる費用について見ていきましょう。
勾配を緩やかにする
階段の昇り降りが大変になってきたときに考えるべきリフォームが勾配を緩やかにすること。緩やかにして階段を長くする分、他のスペースを階段のために割り振ります。場合によってはスペースの配分を変えず、段数を増やして1段あたりの高さを低くするというケースもあります。この場合にかかる費用は20万円~50万円ほど。
これに対し階段を一度撤去し、勾配を緩めて設計しなおすという方法もあります。当然ながら費用は100万円~150万円ほどと前者の方法より高め。
階段のデザインを変更する
床材の色を変えたいなど、あくまで表面的なデザインだけ変える場合の費用は20万円~100万円ほど。目安にかなり幅があるように感じるかもしれませんが、これはあなたのこだわり次第です。
業者によっては相談しているうちにあれもこれもと勧めてくることがあるでしょう。勧められるままにリフォーム内容を変更していけば最終的に当初の予算を大幅に超えることにもつながります。できるだけ安く仕上げたい、予算が限られているという場合はリフォームした後にどんな階段にしたいかというイメージを明確にしておきましょう。
階段下に収納を設ける
階段下は収納スペースとして優秀です。リフォームによってこの空間を作り出すことができ、費用は5万円~30万円ほど。リフォーム前に階段下にあった設備によって費用は変動します。
階段を丸ごと作り直す
老朽化によって階段がかなり痛んでいる場合、丸ごと作り直した方が良いこともあるでしょう。費用もそれなりにかかり、目安としては60万円~100万円ほど。高くはなるものの勾配やデザインなど希望通りになりやすいというメリットがあります。
注意するべきなのが工事中は階段を使えなくなってしまうということ。簡単なリフォームとは違い丸ごと作り直すわけですから工事期間もそれなりにかかります。事前にどのくらいの時間がかかるのかを把握しておきましょう。
階段の場所を変更する
同じ場所に作り直す場合と違い、柱や壁のことも考える必要があるので基本的には家全体のリフォームと一緒に行われます。費用も150万円~300万円ほどと他のリフォームよりも高額です。
床材を重ね貼りする
見た目が傷ついていても強度に問題がないという場合は上に床材を重ねて貼り付けるという方法があります。見た目がきれいになるのはもちろん、ケガに備えられる柔らかい床材もあるのでこちらも検討してみてはいかがでしょうか。
階段をリフォームするなら手すりもつけるべき
平成12年の法改正以降、安全のため階段への手すり設置が義務づけられました。しかしこれ以前に建築された家には手すりがついていないこともあります。もしあなたのご自宅の階段に手すりがないのであれば、この機会に手すりも取り付けてしまいましょう。安全性が向上するのはもちろん、足腰に自信がない方がいる場合は昇り降りの助けにもなります。費用はおよそ8万円~10万円ほどです。
階段のリフォームは慎重に!
何度も言いますが階段は家の中でも事故が起きやすい場所。適切な価格でしっかりと工事を行うべきです。
手すりくらいなら自分でもつけられるのではないかと考える方もいるかもしれません。実際DIYが得意な人であれば不可能ではないでしょう。しかし取り付けがあまく、使用中に外れてケガをしてしまうことも十分に考えられます。自分で対処するのは最小限にし、信頼できるプロに任せることをおすすめします。