使えない空き家を抱えている方へ。空き家リフォームのススメ
今、日本では全国で空き家が増えており深刻な社会問題となっています。総務省が5年ごとに実施している「住宅・土地統計調査」によると2013年時点での空き家率は13.5%。空き家数は6,000戸にも及びます。少子高齢化の影響で空き家率は年々上昇傾向にあり、空き家率はこれからも徐々に増えていくと考えられているのです。
空き家は解体するために費用がかかりますし、解体して更地になると固定資産税が高くなってしまいます。このような理由から空き家のまま放置されている物件は後を絶ちません。しかし空き家を放置していると不法投棄や犯罪の温床になってしまうことがあります。この機会に空き家をリフォームし、資産の有効活用を始めてみてはいかがでしょうか。
空き家をリフォームするメリット
資産価値が上がる
空き家は人が住んでいる住宅と違い、窓を開けて空気の入れ替えをすることがありません。そのため内部が湿気で痛みやすく通常よりも劣化が早く進んでしまいます。他にも壁紙が汚れてしまう、基礎部分がシロアリに食われてしまうなど、対応が分からないからと放置していても、ただただ劣化していく一方でしかありません。
すでに劣化がかなり進み、もう人が住めるような家ではないと思ってしまう方も多いのではないでしょうか? しかしリフォームをすれば空き家は驚くほどキレイに生まれ変わります。見た目がキレイになって住めるようになるだけでなく、売却しようと思えば買い手がつく教になりますし、賃貸として貸し出すという選択も選べるようになるでしょう。
リスクを未然に防ぐ
空き家を放置していると不法投棄や犯罪の温床になるリスク以外にも、倒壊してしまう可能性が出てきます。万が一建物が崩壊すれば近くに住む人へ迷惑がかかりますし、もし倒壊で誰かが被害を被ったとなれば賠償責任という問題も発生してしまいかねません。今後空き家を利用する・利用しないに関わらず、家主は建物の安全性を確保しておかなければいけないのです。
空き家をリフォームするデメリット
空き家のリフォームには少なくない費用がかかります。長年空き家にしている場合は相当な劣化が進んでいると思われますので、思っていた以上の出費になってしまうこともあるでしょう。また、建物が1981年以前に建築されていた場合は現在の耐震基準を満たしていない可能性があります。この場合、壁や床などの修繕だけでなく耐震補強工事が必要になるため、さらに費用がかさんでしまうかもしれません。とはいえ放置したところで問題が解決するわけではありません。費用がかかることは覚悟の上でできるだけ早く対策を進める必要があります。
空き家リフォームのポイント
単に空き家リフォームといっても物件によって事情はまったく異なります。例えば空き家であった期間が短い場合やそれほど築年数の経っていない場合であれば多少のリフォームで問題が解決するかもしれません。一方でかなりの築年数が経過していたり見た目で分かるほどボロボロになっている場合には大幅なリフォームが必要となります。
建物を見て、どんな工事が必要でどれくらいの費用がかかるかすぐに分かる人はいません。特に基礎部分の劣化は目で見ただけで分かるものではありませんので、素人目には判断しようもないはずです。そこでおすすめしたいのが住宅診断。費用は5万円~10万円で、専門家が建物の劣化状況やリフォームの費用の概算、今後のアドバイス等を行ってくれます。空き家リフォームは住宅診断の結果をもとに進めていくと良いでしょう。
空き家リフォームの費用
全体的なリフォーム
費用にはかなりの幅があり、一戸建ての場合は500万円~2,000万円ほどが大まかな相場です。費用は建物の劣化がどれくらい進んでいるのか、建材や設備には何を使うかで変動します。
かなりの費用がかかるとはいえ、500万円以下で古民家をリフォームできたといった例もないわけではありません。あまり設備のクオリティにこだわらず、安いものを選んでいけば300万円ほどでリフォームできる可能性もあります。
部分的なリフォーム
壁や床を修復するだけ、トイレや風呂設備を入れ替えるだけといった部分的なリフォームであれば費用は数十万円~500万円ほど。水回りの設備は劣化しやすいため、ここだけは最新のものを導入するのがおすすめです。また賃貸として貸し出す場合は借り手の印象も大事になるため、壁・床の修繕もほぼ必須となるでしょう。
ただ、売却する場合はあまりしっかり手を入れないという選択もあります。なぜなら中古住宅は購入後に自分でリフォームしようと考えている人が一定数存在するから。壁や柱の補強、汚れやカビを取り除くなど、不快感を覚えない程度のリフォームを済ませておけば買い手を見つけることができるでしょう。
空き家リフォームをする際の補助金制度
リフォームをするにあたっては国や自治体からの補助金を受け取れる場合があります。ここでご紹介するのは国からの補助金。2018年度に実施されていた制度ですが、2019年度についてはまだ実施するかが発表されていません。各事業の公式サイト等で最新情報を随時チェックしてください。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
住まいを長く使うためのリフォームをする場合に受け取れる補助金制度。工事を実施した事業者が最大300万円の補助金を受け取れる制度ですが、最終的には工事の依頼主に還元されます。申請にはいくつかのタイプがあり、施工内容によって補助金の限度額が変わります。認められるのは以下4つのリフォーム。
- 耐久性を上げる
- 耐震性を上げる
- 省エネ性を高める
- 維持管理しやすくする
これ以外のリフォームは対象外となりますが、補助金の対象となるリフォームをまとめて行うことで交付条件を満たすこともあります。例えば屋根の張り替えは補助金の対象になりませんが、劣化対策や給排水管の改修といった工事を組み合わせることで対象になる場合もあるのです。
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)支援事業
ZEHとは断熱性を向上させる、エネルギー効率の良い設備を導入することに加え、太陽光発電などエネルギーを作り出す仕組みがあり、エネルギーの収支がプラスマイナスゼロになる家のこと。事前に事業へ登録した業者がZEHに近づける工事を行った場合というのが交付条件で、補助金は一律75万円となっています。
高性能健在による住宅の断熱リフォーム支援事業
その名の通り断熱リフォームを行った際に交付される補助金制度。指定された建材を使い、決められた断熱改修率を満たしていることが交付の条件。上限は一戸建ての場合120万円となっています。
住宅ストック循環支援事業
この補助金はいくつかの対象がありますが、リフォームの場合は「住宅のエコリフォーム」が対象となります。制度の中で決められたリフォームを行い、工事後の耐震性を確保していることが交付の条件。補助金の上限は30万円ですが、耐震工事も含めた場合は45万円まで交付されます。
空き家にはできるだけ早めの対策を
記事で述べた通り、空き家をリフォームするにはそれなりに費用がかかります。しかし放置していては問題が解決しないどころかさまざまなリスクを無視することになります。また、倒壊の危険があると判断された場合など特定の状態になると固定資産税がこれまでの6倍になってしまうことも。
できる限り損をしないためにはやはり早めに動き出すことが重要です。あなたもぜひこの機会に空き家のリフォームを検討してみてはいかがでしょうか。