テレワークを快適に!自宅にワークスペースを作る簡単リフォームアイデア
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対策のため、テレワーク(在宅勤務)で働く人が急増しました。
東京都庁の5月11日の発表では、2020年4月の時点で都内企業のテレワーク導入率は62.7%に達しており、前月より約2.6倍増加しました。[注1]
在宅での作業環境が整わないまま、急ピッチでテレワーク制度を導入した企業も少なくなく、一定数のテレワーカーがストレスを感じています。
もともと、テレワークは2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、産学官連携で導入が進められてきた背景があります。
新型コロナウイルス感染症の収束後も、働き方改革の一環として、テレワーク制度を採用する企業が増えていくと予想されます。
新型コロナウイルス感染症の流行をひとつのきっかけとして、テレワーク(在宅勤務)でも快適に働ける仕事環境を作りましょう。
テレワーク(在宅勤務)でみんなが困っている3つのこと
テレワークには、時間や場所にとらわれず柔軟に働けるというメリットがある一方、自宅勤務ならではの不便さを感じる在宅ワーカーも少なくありません。
*仕事中に生活音や家族の声が気になる
*さまざまなものが目に入って気が散る
*デスクやチェアが作業に適していない
テレワークの不満点としてよく挙げられるのが、上記の3点です。
普段働いているオフィスは、仕事に集中できるよう工夫がされていますが、在宅ワークではそうもいきません。
とくに、小さい子どもがいたり、ペットを飼っていたりする家庭では、仕事中にどうしても騒音・生活音が気になります。仕事に関係ないものが目に入ったり、仕事の合間に家事や育児に追われたりして、集中力を維持できないケースもあります。
せっかく自宅で働けるのに、かえってストレスが増加した人も少なくありません。日経新聞社のアンケート調査では、テレワークへの移行後、ストレスが「上がった」「やや上がった」と回答した人は40.0%で、「下がった」「やや下がった」の30.7%を上回りました。[注2]
テレワーク中の生産性の低下に悩む人もいます。同じ調査では、テレワークで生産性が「下がった」「やや下がった」と回答した人は42.4%で、「上がった」「やや上がった」の27.3%を上回っています。[注2]
その一因として挙げられるのが、机や椅子の問題です。オフィス用のデスク・チェアと違い、日常生活で使う机や椅子は作業に適していません。こうした机や椅子で長時間作業すると、疲労の蓄積や集中力の低下を招き、業務効率が大きく低下してしまいます。
快適なテレワーク(在宅勤務)のコツは「仕事専用のワークスペース」を設けること!
快適にテレワークをするために必要なのは「仕事専用のワークスペース」です。
テレワークがストレス増加や生産性低下を招く原因は、自宅での作業環境が仕事に最適化されていないところにあります。
たとえば、リビングのローテーブルやソファ、ダイニングのテーブルや椅子は、必ずしも長時間の作業に適しているわけではありません。快適なテレワークのためには、仕事専用のワークスペースが必要です。
ワークスペースといっても、オフィスにあるような専用の個室を用意する必要はありません。作業に適したデスクと椅子を選び、業務に集中できる空間づくりをすれば、比較的簡単に自宅ワークスペースを作れます。
自宅にワークスペースを作る簡単リフォーム・リノベーションアイデア3選
自宅にワークスペースを作るのは、それほど難しくありません。時間やコストをかけなくても、長時間作業に集中できる仕事環境は作れます。ここでは、快適なワークスペースを作るリフォーム・リノベーションアイデアをご紹介いたします。
1. リビングやダイニングの端にデスクを設置する
リビングやダイニングでテレワークをする場合は、なるべく部屋の端にワークスペースを確保し、デスクを窓や壁面に向けて配置しましょう。
視界が制限され、仕事に集中しやすい環境になります。
とくに、小さい子どもや、手のかかるペットがいる家庭では、目が届きやすいリビング・ダイニングでの作業がおすすめです。新しく部屋を用意する必要がなく、時間もコストもかかりません。
どうしても周囲の雑音や人の声が気になったり、Web会議や電話対応が多かったりする場合は、作業空間に仕切り・隔たりが欲しいと感じるかもしれません。
そういうケースでは、観葉植物やパーテーションの設置がおすすめです。
コストをかけずにブース風の作業空間を演出できますし、音や邪魔なものを遮断できます。
小さな子どものいる家庭の場合は、ガラス製のパーテーションを用意しましょう。子どもへの視界を確保しつつ、作業に集中できる個室空間を作れます。
2. 寝室にデスクを設置する
思い切って寝室をワークスペースにするのも効果的です。
ベッドルームは基本的に就寝時しか使わない部屋です。テレワーク用の部屋をわざわざ用意しなくても、日中に仕事をする家庭なら、静かで集中できる個室を確保できます。
棚付きのヘッドボードがあるタイプのベッドなら、本やスピーカーを置き、快適な作業空間を演出できます。広さ6畳以上の寝室がある家庭に向いている方法です。
しかし、生活用のスペースと仕事用のスペースを分けて、メリハリをつけたい方もいるかもしれません。そうしたケースでは、ベッドから離れた場所にデスクと椅子を設置することで、仕事とプライベートを上手に切り分けられます。
なお、Web会議システムを使う場合は、寝具やベッドが映ると不都合があります。カメラに映り込まないよう、プライバシーを確保できる位置にデスクを置きましょう。
3. 納戸やデッドスペースを活用する
家の中の空いたスペースを、テレワークに活用できるかもしれません。
*使っていない納屋
*納戸
*部屋と部屋の間のデッドスペース
上記は、簡単なリフォーム&リノベーションだけで、使い勝手抜群のワークスペースへ作り変えられます。
とくに、戸建てに多い納屋や納戸であれば、最初から照明やライトがついていることが多いため、大規模な改修や電気工事が必要ありません。
デスクの代わりに広い板を壁に架け渡したり、棚をデスクとして再利用したり、ちょっとした工夫をすれば、簡単に個室や半個室の作業空間を確保できます。
利用できる空間が限られるマンションでは、部屋と部屋の間の隙間や、デッドスペースを有効活用しましょう。
幅75~85㎝、奥行き50cm以上のパソコンテーブルが置けるだけの広さがあれば、ワークスペースには十分です。
むしろ、仕事道具がすべて手の届く範囲に置かれているため、作業に集中できます。デッドスペースが廊下に面している場合は、入り口付近に観葉植物やパーテーションを配置したり、簡単な扉を取り付けたりすれば、物音や話し声を遮断できます。
自宅ワークスペースがより快適に!リフォーム・リノベーション時に注意したい3つのポイント
快適なテレワークのためのリフォームやリノベーションで失敗しないためには、事前準備が重要です。
ワークスペースをもっと快適にする3つのコツを解説します。
快適なワークスペースを作るうえで、もっとも大切なのはデスクと椅子です。とくに椅子については、厚生労働省の「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」で、5つの要件が決められています。
1. 身長に合った高さのデスク長時間座っても疲れない椅子を選ぶ
肘掛けや背もたれがない椅子は、そもそも自宅作業には向いていません。
肘掛けがあり、座面の高さや背もたれの傾きを自由に調整でき、長時間座っていても疲れにくい椅子を選びましょう。デスクを選ぶ時は、自分の身長に合った高さかどうかが重要です。
厚生労働省のガイドラインでも、机や作業台の「床からの高さは作業者の体形にあった高さ」であることと規定されています。[注3]
納屋や納戸を改修し、壁に板を渡してデスク代わりにする場合は、高さを調節できる機能をつけましょう。
椅子やデスクが体に合わないと、足腰に負荷がかかり、腰痛・肩こりの原因になります。
作業が長時間になるほど体の負担が増えるため、長い目で見ると損をします。リフォーム・リノベーション時に要望を伝えることが大切です。
2. 照明・温度・湿度の調整ができるようにする
厚生労働省はテレワークに関する通達で、「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」だけでなく、「事務所衛生基準規則」も基準として挙げています。事務所衛生基準規則が定めているのが、仕事中の照明・温度・湿度の衛生基準です。
ワークスペースの照明は「昼白色」が基本です。最低でも、机の上の明るさが300ルクス(lx)以上になるよう調整しましょう。
300ルクスとは、一般的なオフィスの受付・化粧室や、学校の教室と同等の基準です。ただし、小休憩の時は照明の色・明るさを変えると、仕事にメリハリをつけられます。新しく照明を取り付ける際は、色や明るさを調節できるタイプにしましょう。
また、ワークスペースの室温は17~28℃を維持し、相対湿度は40~70%に収まるようにしましょう。[注4]
納屋・納戸やデッドスペースには、そもそも空調設備がないケースもあります。リフォーム・リノベーションの際は、優先して設置したいポイントです。ワークスペースは空調の気流が直接当たらない場所に設置しましょう。
3.パソコンなどの配線をきちんと整理する
意外と軽視しがちなのが、パソコンなどの配線の問題です。パソコンの電源ケーブルや、ルーターにつなぐLANケーブルがごちゃごちゃしていると、作業に集中できず、見た目もスッキリしないワークスペースになってしまいます。
ケーブルがタコ足配線になる原因は、コンセントと情報機器の位置関係が良くないからです。
コンセントやルーターの差し込み口の位置が情報機器から遠いと、延長コードがたくさん必要になったり、部屋の真ん中をケーブルが通ったりして、配線周りがスッキリしません。ケーブルに足をとられて転倒するリスクや、火災の出火原因となるリスクもあります。
コンセントの増設や取り付けには電気配線工事が必要なため、大掛かりなリフォーム・リノベーションになる可能性はありますが、快適なワークスペースのために配線の整理は欠かせません。
自宅にワークスペースを作って快適なテレワークを!
快適なテレワークのためには、専用のワークスペースが必要です。テレワーク中のストレス増加を防ぎ、仕事に長時間集中できます。
ワークスペースを作るのは、自己投資のひとつでもあります。作業環境を整えて、テレワーク中の生産性が上がれば、自己の成長や会社からの評価アップにつながるかもしれません。
記事でご紹介したリフォーム&リノベーションアイデアは、基本的に大規模な工事が必要なく、時間やコストもかかりません。
「今すぐリフォーム・リノベーションするのは難しい!」という方でも、仕切りやパーテーションを購入するだけで、簡単にブース風のワークスペースを作れます。
新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけとして、テレワーク制度を採用する企業は増加しています。
自宅にワークスペースを作り、快適にテレワークができる環境を整えましょう。
テレワークのリフォームに関するよくある質問
- 簡単にワークスペースを作る方法はありますか?
- リビングや寝室の端にディスクを設置することがおすすめです。
- 自宅でテレワークを快適に行うコツはなんですか?
- 寝巻から着替えたり、デスク等の作業場所をきちんと確保することや時間のメリハリを作り、日常生活と仕事を混在させない事がポイントです。
- 作業場所を確保するためにおすすめのリフォーム場所はありますか?
- リビングの一角や部屋と部屋の間のちょっとしたスペースでもリフォームをすることで作業場所を確保する事が出来ます。
[注2]日経BizGate/「収束後もテレワーク中心に働きたい」4割 現状はストレスも